ここ数年思い続けていたけれど、始めるのがあまりに面倒すぎてアクションを起こせなかったことのひとつに Google 、特に Gmail への依存を減らしたいということがあった。要は今使っている @gmail.com のメールアドレスを全く違うドメインのメールアドレスにしたい、ということ。
この記事ではなんでそんなことを思うのか、そして Gmail や Google アカウントへの依存を減らすために何を考えて何をしているのかについて書く。
Why ?
今更と言えば今更なんだけど、このところ Google への不信感が自分の中で続いている。いつからかも具体的にはよく覚えていないけれど、違和感とか不満が増えていく一方で減ることもなく、それを払拭できるほどの良い体験が Google のサービスから得られなかった。
最近だと PSF のスポンサーになったのとか Spectre の Web での検証を継続しているのとかはいいニュースだと思ったけれども、それは開発者としていいニュースだと思ったのであって、個人としては Google という企業に良い印象を持っていない。
Google のサービスのライフサイクル
Killed by Google なんてサイトがあるほど Google はよくサービスをやめている。別にサービスをやめること自体が悪いわけではないとわかっているけれど、儲からないとか、社内事情だとかでとっととサービスをやめる会社であるというイメージはついているし、きっと今後も変わらないと思う。
いや、もちろん Google があと2, 3 年で Gmail のサービスを辞めることになると思っているわけではない。ていうかメールアドレスが使えなくなるときは Google アカウントの一意 ID がなくなるときだから、さすがに Google という会社が存続する限りそれはないと思っている。
ただサービスをよくやめるから、新たに Google が発表する新サービスとかに魅力を感じなくなっている(飛びつくと痛い目見る可能性が高いなということが何よりも先に脳裏をよぎる)。Google のサービスを便利に使いたいから Google アカウントを自分のインターネット活動のハブにしていたのに、そこまでする理由なんてもうないなと感じるようになった。
あと Google がサービスをやめなくても、自分の Google アカウントが BAN される可能性は常にある。何も対策をしなければ Google に BAN された瞬間、自分は人権を失うようなものだ。さすがにバックアッププランが一切ないのは危険だなと思うようになった。
ビジネスモデルへの意識
自分の価値観の変化も大きな要因としてある。僕個人だけをとってもプライバシーに対する関心が今までより高くなっているし、世界的な潮流としてもインターネットを使ったサービスを提供する場合は、ユーザーのプライバシーを尊重しなければならないという圧力が天井知らずで高まっていると思う。
そんな中で、いろいろと考えた結果、自分は広告ビジネスモデルを積極的に肯定はできないと思うようになっていった。彼らの顧客は広告主であって、僕らユーザーではない。誰かがお金を払っているから自分が無料で使えている のだけど、営利企業である以上、優先されるのは顧客だから、サービスの施策は必ずしも僕らユーザーを満足させるものではない。つまりサービスが最も優先していることはユーザーではない、ということにずっと違和感を抱えていて、その想いがふくらむばかりだった*1。
別に SNS やめてるわけでもないし、トラッカーをどれほどブロックしているのか気にしているわけでもない*2ので自分の情報を積極的に守っているわけではない。
プライバシーを尊重して欲しいというよりも、自分が適切な対価を払ってサービスを享受したい、広告主でなくユーザーに対して価値を提供するサービス(自分のほうを向いていると感じられるサービス)を使いたいという想いのほうが強い。自分の予算と見合う料金であればお金を払いたい、むしろタダとか安すぎるほうが違和感がある、と言うふうに感じるようになった。
たまたま今の世の中、お金を払う人に訴求する大きめの要素にプライバシーが上がっているので、お金を払おうという意思決定をするだけでプライバシーを重視したサービスが筆頭にあがってくるので、結果としてプライバシーを重視したサービス選定みたいになってるけど、実際のところそこまで気にしてない。ただ広告ビジネスモデルの構造に嫌気がさしただけ。
メールサービス選定
と偉そうなことを言ったものの、最近のメールサービスをほとんど知らず。特に何も考えずに HEY というサービスを使うことにした。もう少し考えろよと自分でも思うけど、まあ。
ちなみに選定理由は簡単で「値段が高かったから」。メールサービスに年 $99 ってマジ? 1 passowrd より高いぜと思ったけど、お金を払いたいから変えるんだから高いやつを選べばいいかと思った。多少割高でもいいから月額プランが欲しいなと思ったけど、もう課金したからいいや。
自分はメーラー(Thunderbird とか macOS のメールアプリとか)の設定するのが面倒でブラウザか Gmail のアプリでメール見る派閥だったので、Hey への移行には特に違和感がなかった*3。URL が変わったというだけの話である。
HEY について調べると、Screen In/Out 機能と Imbox/The Feed/Paper Trail の 3 つの振り分けが〜って話が出てくると思う。だけど僕は HEY を紹介したいわけではないのでパス。便利に使ってはいるし、メールボックスを自分の意思で制御できるのでいい。気になったら調べるなり 14 日間のトライアルを申し込むなりしてね。
HEY でも Newsletter が書けるらしいんだけど、さすがに Revue 始めたばかりだしその移行はしなくていいかな......表現力も本当にメールって感じの表現しかできなそうだし。
ストレージ選定
クラウドストレージは iCloud Storage にしてとりあえず一時的には Apple への依存を強める方向にするかと思っている。今までは Google Photo に全部の写真をつっこんでたんだけど、それも iCloud Photo に変えて。これは iPhone の連携を切るだけだから簡単ちゃ簡単のはず。
かつての考えと真逆を行っているけれど、価値観が変われば行動も変わるよねということで。昔はプラットフォーマーとしての Apple が好きではなかったんだけど、色々あって今は Google よりは Apple のほうがいろいろとうまくやっているなと感じることが増えた。いや、よくないところもいっぱいあるけど。
正直自分はメールアドレスに比べると写真とかファイルストレージのほうがどうでもいいと思っていて、あまり意識が高くもない。ちゃんとするなら Dropbox とかに逃してこれも分散させるんだろうけど、そこまでファイルを一生懸命守りたいと思ってないし、そこにコストをあまり使いたくない。Apple One に入っているので 50GB あるしそれで足りるだろうと踏んでいる。
そこまで写真撮らないし、ファイルなんて再生成できるものと公開するものくらいしか基本的に自分では持たないし。あとは GitHub のリポジトリ?大体公開しているし。
Google カレンダー
これはそのまま使い続けようと思う。仕事で使っているのもあるし、既に iCal と同期もしていて並行稼働しているので特に不安もない。あと公開カレンダー的なものが Google カレンダーであることがどうしてもいいので、他人の公開カレンダーを購読するには Google カレンダーがやっぱり良いと思う。
ただ ToDo とかリマインダーとかあの辺のよくわからない機能は使わないかな。
終わりに
普段自分がよくログインするサービスについては登録メールアドレスをとっとと変更してしまった。変えてないサービスに関しても無限にメールが来るけど、キリがないので気が向いたらやることにしてひとまず HEY のドキュメント通りに Gmail から HEY に転送するようにした。
Screen In/Out の意思決定をするたびにメールの送信元を見るので、副次的に自分が加入しているサービスがたくさんあることを認識する。メールを読まないだけならともかく、使わないサービスを発見することもままあるのでこれを機に使ってないサービスとかはもう退会するようにしたりしてる。思い立てば数クリックで退会できるしね。
いきなり Google という大企業から HEY というスタートアップに自分のメールアドレスを依存するようなことにしてみたけど、別に Google アカウント消すとかそんなんじゃなくただ並行稼働させるだけなので。その意味で不安は特にない。
iPhone 11 を買った時はこれが最後の iPhone だと思って買ったんだけどなぁ。Pixel 5 が Pixel 5 だし、なんか今の自分はこんな感じだし、結局 iPhone 13 は買ってる未来が見えるなぁ。