シン・エヴァンゲリオンを見てきた。
何を言ってもネタバレになりそうな気がしてならないので、話に関しては何も言わないでおこうと思う。とはいえ何も知らないで見たい人は、ここより下の文章は読まないほうがいい。僕はありがたいことにほとんど何も知ることなく見れた。誰の感想も読まなかったし誰の呟きも見なかった。
あぁ、よかった。感無量だ。それに尽きる。
エヴァンゲリオンというものはが僕にとってなんなのか。それは自分でもよくわからない。
テレビだったかゲームだったか、もはやそのきっかけも覚えてないけれど、中学生とかの頃にエヴァンゲリオンというアニメがあったことを知り、高校生のときとかに見ていた。
自分は高校時代は浮世離れしていて、教室のみんなが AKB48 の話をしている中「前田敦子って...どれ?」とかカラオケで God knows... とか歌っている同級生を尻目に「涼宮ハルヒって...面白いの?」みたいなことを言っているタイプの人間だった。
そんな高校生だったときに僕がハマったのはただ 2 つだけ、Mr.Children とエヴァンゲリオンだけだ。
当時から、僕にとってエヴァンゲリオンという物語は特別な意味を持っているような気がしていた。なぜそんな気がしていたのか、今となってはもうよくわからない。どんなフィクションもつまらないと感じ、どんな物語も心に響かなかった当時の僕に、なぜかエヴァンゲリオンだけは寄り添ってくれたような気がした。
誰が何を言おうとも、僕もエヴァンゲリオンが好きだ。詳しくもないし考察がうんぬんとかナンタラ文書がどうたらこうたらとか全然知らないけれど、大好きだ。それだけは言える。
終わりを迎えるのが怖かった。なんでもそうだ。ゲームもエンディングが近づくと怖い。プロジェクトも納品が近づくと緊張する。
終わる、終えることが苦手だ。だから始めるのも苦手だ。始まったら終わってしまうからだ。
エヴァンゲリオンが終わる、この前書いたけど何度そう言われてもピンとこなかった。いや、今日見ていてもまだ終わらないかもしれない、スタッフロールが終わって、次回予告が始まり、ミサトさんが「あともう一歩、サービスサービス!」とか言い出すんじゃないかと半ば本気で思っていた。
でも、やっと終わったらしい。スタッフロールが終わって現れたのは右下の「終劇」の文字。それを見て、すっと胸が軽くなった。
終わってしまえば、あっけないとは言わないが、恐ろしいことはなにもなかった。そりゃそうだ。ただ映画を見ただけだ。
だけど 10 何年もの時を超えた僕が、エヴァンゲリオンを見て、彼らの生き様を、結末を見て。あの頃と同じように心を震わせられる、あの頃よりも心を震わせられる。
それがただただ嬉しくて。それだけでもう夢中になって。
やっぱり始まったからには終わらないといけないんだね。出口のないトンネルじゃ、感動できないよ。
ありがとう、エヴァンゲリオン。
この 10 何年もの間にあった楽しいこと、嫌なこと、嬉しいこと、悲しいこと、やってらんねぇと思ったことも天にも昇るような心地も色々と経験した今の僕だから、この物語をよりいっそう楽しめたんだと思う。
ろくな人生じゃねぇって本気で思ってたけど、大人になるって、悪いことばかりでもないんだなぁ。
本当に、生きててよかった。僕も少しは大人になれたから、いまのこんな気持ちを知ることができたんだと思う。
本当にありがとう、さようなら。