Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

望んだ未来へ

橋の上での習慣

僕はどうも橋に縁があるらしい。

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京都に住んでいた頃、僕は毎日橋を渡っていた。そうしなければ出勤できない場所にオフィスがあったからだ。そして東京に引っ越してなお、橋の近くに住んでいる。歩いて渡らずに済ませる方法はたくさんあるけれど、時折意味もなく歩いて渡る。そこで月や雲をみたり、風を浴びて何もかもを忘れたりする。

いつしか、何かを始める前には、あるいは何かを終えるときには、それをすることが習慣になっていた。

炭酸水だけもって今日は橋へ向かった。相変わらず風は強いけれど、半年前とは違ってあまり冷たくない。心地よいとさえ思う。上を眺めると雲がすごい勢いで動いていて、あぁ自然ってすげぇなぁと純粋に思う。生憎月は見えなかったが、仕方がない。見えないものは見えないのだ。

何かが始まったとき

半年前、この場で僕は時間が止まってほしいと願っていた。そんなことは起こらないと知っている。だけど願っていた。

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あのとき意識せずとも橋の上に立ちたくなったのは、決して時間を止める魔法を使いたかったからではなくて、このままでも得られる未来を受け入れるかどうかを迷っていたからだ。あのとき結論が出ていたのかはもうよくわからない。ただ僕は、僕を変化させることを選んだんだ。

何かを終えたとき

そして3ヶ月ほど前にも、僕はこの橋を渡った。僕は酒を飲んでも居ないのに上機嫌で、叫び出したいのをなんとかこらえながら歩いていた。あのとき、僕の人生はひとつ変わった。

終わった、全部終わったんだ。

その日僕が、月夜の下で吹き荒れる強風をもろともせず、橋の上ではしゃいでいたのを知っているのは、きっと月と雲と、通りがかった自転車に乗っていた人だけだった。

ただただ嬉しいという気持ちだけが、僕を支配していて、風も月も僕にどんな干渉をしたのかさえ覚えていない。きっとどんな状態でも、僕は好意的に捉えただろう。そんな夜があった。

何かが終わった夜があった。そして終わることと、始まることは表裏一体なんだ。

現在

そして僕はまた、橋の上に立っている。雲が動き、変形していくさまを見ながら炭酸水を飲む。

この視線の先に、この雲のうねりのあとに、何かが待っている。何かはわからない。ただ、今の僕は半年前とは違って、明日が来るのを待ち望んでいる。

明日を迎えにいくために、僕は早々と退散した。