Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

月が綺麗だった、から

自宅までの道を、歩いている。橋を渡るときにふと空に目をやると、月、星、雲が鮮やかな夜空を魅せていた。今は冬、僕はそれを思い出す。

昼間は自転車や歩行者がたびたび通る橋の上も、今の時間は僕だけのもの。そして、この川と夜空の共演は、僕だけのためのショー。

そう思って、前も似たようなことを書いたなと笑う。

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あれは夏の出来事だった。あんなに暑かった夏はいつの間にか目の前から失せてしまって、肌で感じているのは体を芯から冷やしてくる寒さだ。

橋の上で感じる風はずっと冷たくて、僕はマフラーで顔の半分を覆い隠した。少し写真を撮って見たけど、酔っているしそもそもうまく写せない。

こんなにも綺麗な景色が僕しか見られないなんて残念だと思いつつ、同時に僕だけが見たものだと思うと少し嬉しくもなる。独占欲ってこういう感情なんだろうか。

今年は「インスタ映え」という言葉が流行ったらしい。他者から見て「映える」ものに価値を感じる人もいるだろう。別にそれ自体は悪いことでも無い。一生、いいねの数で競っていればいい。

僕は目の前の景色に、自分が1いいねを押せた。それだけで満足だ。

住宅街に僕の足音と自動販売機の稼動音が響き渡っている。僕ももう帰る。

映えないけれど、自分だけの未来を迎えに行くために。