僕は自分のことが好きではない。
自分が何かをなせるとも、何かをなすべきだとも思っていない。ただ、誰にも知られずにひっそりと死んでいきたい。僕が死んでも誰も悲しまない、そんな生き方がしたい。
いつからかはわからないけれど、そんな風に思うようになった。誰にも言わないけれど。
あのとき、どうするべきだったのだろう。
答えのない疑問が頭に浮かぶ。答えがないことだけ再確認だけしてかき消すけど、すぐにまた同じことを思う。
「あのとき、どうすればよかったんだろう。」
声に出してみても、誰も答えてはくれない。そもそも誰も聞いていない。
ずっと長いこと、僕の人生は消化試合だ。僕のための人生は、既に終わっているという感覚が強い。
最近26歳になった。また性懲りもなく1年も生きてしまった。誰にも望まれていないし、僕でさえも望んでいないけれど。
ただ、死ぬよりはエネルギーを使わないから生きている。
別に何かを伝えたいわけではないし、言いたいことがまとまっているわけでもない。
ただ、思い出すんだ、毎日のように。未来の不安に苛まれるよりもずっと、ずっと、僕は過去に囚われている。
僕は、変わりたかった。でも変われなかった。その事実だけがいまも僕を囚え続けて、離してくれない。
あのとき、どうするべきだったのだろうか。わからない、本当に何もわからない。
僕にできることはそれしかなかったはずだ、と言い聞かせる。ただその結果、僕は僕を閉じ込めてしまったと反論される。
どう表現するのが適切なのかわからないけれど、まるで冷凍保存したみたいに、僕のホントのトコロはずっと凍りついたままだ。解凍しようとすると、すぐに誰かが拒否する。僕にも制御できない。
だから見て見ないふりをし続けている。
変わらない僕を、変われない僕を、赦してほしい。でも誰に赦されたいのか、わからない。
季節は春から夏に向かっている。
あぁそうか。また夏がやってくる。また。
止まった腕時計は、また今年も動かない。
- 作者: 三秋縋,紺野真弓
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