気温は真夏ほど高くはないけれど、暑い夜。まだ夏は終わっていないという気持ちにも、秋が始まろうとしているという気持ちにもなれる、そんな夜。
僕が知ってから1年かけて、ひとつの物語が終わった。そんな夜。そんな、キレイな夜。
1年くらい前のことだ。僕は悩んでいた。自分が何に悩んでいるのかもわからないまま、僕は悩んでいた。出口のない迷宮に突如放り込まれ、僕はただただ右往左往するしかなかった。
そんな僕に悩んでいてもいいのだと言ってくれたのは、正しいことをするべきなんだと言ってくれたのは、他でもない『やがて君になる』だった。
- 作者: 仲谷鳰
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/10/24
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (9件) を見る
僕は延々と悩み覚悟を決め、今に至る。
そんな自分の人生を変える契機になった1つのマンガがあり、そのマンガが終わった。
こんな言い方をするとあれだが、どんな終わり方をしてもいいとさえ思っていた。僕の問題はもう解決していて、今の僕にその物語は必要ない。今必要なのはきっと『やがて君になる』ではないものだ。
今の僕に必要なのがなんなのか、僕にもわかっていない。
ただ、1年前の僕に必要だった物語が終わった。1年前の僕を変えた物語が、もう何年も前の自分を、どれだけ時間を経ても慰めきれなかった自分を癒やしてくれた物語が、終わった。救われたい一心で生きてきた自分が、贖罪だけで生きている自分が、初めて肯定されたような気がした。
どうしようもなく、僕は間違っていた。ただただ、間違い続けて生きてきた。でも正しいことはなんなのか、本当にわからなかった。もしかしたら、間違えていたという自覚さえなかったのかもしれない。僕は『やがて君になる』を通じて、初めて正しいことを知った。
初めて、自分のすべきことを知った。
初めて、自分が正しいと思うことをやるべきだと知った。
初めて、僕が生きてきた過去は無駄ではなかったんだと知った。
願わくば、この物語がただ消費されて終わることのないよう。願わくば、この物語が人の心の中で生き続けるよう。ただの1ファンの戯言なれど、そんな願いを込めて、僕はこれからも生きていく。
- 作者: 仲谷鳰
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/04/26
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
そして、願わくば。
『やがて君になる』ではなくても、あなたに素敵な物語が訪れますように。
あなたを救う物語に、あなたが出会えますように。
あなたが生きることを、あなたが肯定できますように。