Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

事業を社会の中に位置付けることについて

当たり前の話をすると、社会の中に事業がある。

事業は市場の中でどのようにシェアをとるかを考えることで成長しようと考えるが、一方でこの時代、もはや市場自体を変えるように介入することを考えなければならないのではないかと思っている。

市場を変えるなんてできないのでは。その通りだと思う。僕もできないと思う。

しかし介入することはできる。

社会の中に事業を出現させることについて

スタートアップがやっているのは、社会の中に事業を存在させることである。言い換えると、まだ存在しない価値を社会にもたらすことだ。それはこの社会の中に必要な営みだと僕は信じている。

しかし、固定化された社会の中で新しい事業を編み出すことは実は難しい。先進的な人は受け入れてくれるかもしれないけど一般的にいって人の価値観が変わるのは時間がかかる。

そんなとき、僕は特に東京にいる人にはLUUPを説明する。

luup.sc

みなさん、1年前あるいは2年前に電動キックボードのLUUPをみたときに「なにあれ」って思いませんでしたか。でもいつのまにか、あぁ、あれかって思ってませんか。LUUPの社名を知らなくても、見たことあるあれくらいにはなっていませんか。

それがまさに「社会の中に事業を出現させる」ことなのだと思う。僕も乗ったことないのでぶっちゃけよく知らないけど、たぶん移動するのに便利なんだろう。

使ったことないのに、そのような事業があるんだなとなんとなく知っている。これがまさに市場への介入であり、綺麗事じゃなく事業のために、スタートアップがやるべきことなのだと思う。

このような立ち振る舞いには非常に時間がかかる。プロダクトが普段眼に見える場所になくてとても難しいかもしれない。

「でも、やるんだよ!--それが君のなすべきことなんだとしたらね」(アジャイルサムライより)

社会の中に事業を出現させる、市場に介入し個々人の価値観に変化をもたらす。それは簡単なことではないし、一朝一夕にできるようなことでもない。

でも、やらなくてはならないことなのだと思う。事業によらずまだ価値が認められていないのであれば、アーリーアダプターしか市場にいないのであれば、やるべきことはレイトマジョリティにどう売り込むかを考えること「だけではなく」、レイトマジョリティでさえ認識できるような存在にいかにして「自分たちがなるのか」というということだ。

市場を定数ととらえない

要するに僕が言いたいことは市場を定数だととらえない、ということなのだと思う。

市場というものは常に変化する。10年前の日本と今の日本は確実に違うし、世界も違う。であれば、市場の様相も変わっていて然るべきだ。

そしてその変化は、別に勝手に起きているものでもない、SNSの台頭なり、NIKEのような強いブランディングを持っている会社の存在も大きい。「かっこいい」とはなにか、逆に「ダサい」とはなにかはさまざまな複合的な要因で変化し続けている。

そこに対応するには、変化する市場に向き合うこと、そしてその変化する市場のなかに自分も組み込まれているだけでなく、その変化に自分も介入できるという意識を持つことが重要だと思っている。

その介入は最初、ものすごく小さなものかもしれない。箸にも棒にもかからないようなものかもしれない。

もう一度書くと、「でも、やるんだよ!」だ。それが君のなすべきことなんだとしたら*1

事業を起こした時には、たしかにそのときの市場がある。しかしその市場は変化するし、その変化に対して自分たちもアクションをすることができる。

市場は変数なんだ。そして、自分たちが「理解されない」と嘆くより、理解されるように市場に介入するには?を考えるべきなんだと思う。

それはとても難しい問いだ。でも考える価値のある問いだと思う。

*1:この世界で大事なことは全てアジャイルサムライのあとがきに書いてある。