Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

本の値段が上がった気がするけど安すぎる

4月1日である。エイプリルフールだ。ちなみに、この記事に特に嘘は書いていないので安心して欲しい。


『アリストテレスの哲学』という本を買った。先に書いておくが、別にこの本の話はしない。

問題はこの本の値段である。1,166円する。たっか。

ちなみによくないクセだと思っているが、筆者は基本的にものの値段はあまり見ないでものを買う*1。しかし、実は値段の変化には敏感で、30円値上げしたみたいなことに結構気づく。かと言って買い控えたりしないけど。

気になって調べたら、岩波新書の2023年3月の新刊は1冊を除きすべて1,000円を超えていた。中には1,200円を超えるものまである。中公新書も調べたが、岩波よりは少し安いが1,000円を多少オーバーしているもの、990円とほぼ1,000円なものでほとんどが占められていた。

中学生のとき、新書とは。税込でも1,000円はしない本のイメージだった。僕は当時、数学的経験という5,000円くらいする本を買いたくても買えなくてとぼとぼと本屋から帰路についた記憶があるころである*2。そんな自分に1冊1,000円超という値段はなかなか出せなかったであろうから、僕が買っていた新書のほとんどは1,000円しなかっただろうと思う。


値段が高いことがいいとかわるいとか言うつもりはない。というか、冷静に考えて日本における本の値段は全て安すぎる。

1冊に注ぎ込まれている抽象的人間的労働の総量エネルギーを考えると、どう考えても1万冊は売れない本が普通に書店に並び、容易にアクセスできるのは本の売り上げ以外の何か他のモチベーションがないと説明がつかないだろう。この『アリストテレスの哲学』が何冊売れるのかわからないけど、仮に10,000冊売れても売上高でたかだか1千万円ちょっとにしかならないのだ*3

計算の簡単のために、総売り上げの10%が著者に入るのだと仮定しても100万円にしかならない。日本の平均月収は30万円台なので給与の3ヶ月分くらいだ。新書1冊を書くのに3ヶ月で書ききれるのだろうか、わからない。普通に考えればもっと長い執筆期間が必要な気がする。

あまり明確な根拠のない計算をしたがしかし、この計算でも本を書くのが金銭だけでみて割に合うかどうかは微妙だという計算結果が出てしまう。そもそも、1万部売れる保証はどこにもないし。


何が言いたいかと言うと、日本の本は安すぎる。本は値段のあがった新書でも1万円で8冊くらい買える。そして普通に本を読めば1冊で数時間は楽しめる。8冊を3日で読み切るということはたぶんないだろう(この世にはいろいろな本の読み方があるので、人によってはできるだろうが)。

本てまだまだコスパ良すぎるし、まだ値段上がってもいいんじゃなかろうか。そんなふうに思った。

*1:言い訳をしておくと値段を意識していないわけではない。値段はスーパーであればレジやレシートで見てそこで「高い」とか「安い」とか思う。しかしものを買う時に一定の値段で収まるのであれば欲しいなら買えばいいのであって、高かろうが安かろうが買うという意思決定に変化がないので値段を見る必要がないと思っている。ちなみに、高い(ものによるが例えば1万円とかを超える)とわかっているものは値段を知った上で買うかどうかを決めている。

*2:ちなみに、最近東京の本屋で見つけて購入した。まだ読んでいない。

*3:現実どれくらい売れるのか知らないのでなんとも言い難いが。