物事の終わりは静かなものだ。
どんな映画や演劇にも上映が終わる瞬間の静寂がある。音楽でもそうだ。演奏が終わる瞬間の沈黙が終わりを表す。
僕が知る限り、ありとあらゆるすべては静かに終わる。
外の現象だけじゃなく、自分の中の現象でも同じだ。
例えばマイブームが発生することがあるだろう。好きなYouTuberができた、好きな作家ができた、好きなアイドルができた。なんでもいい。変わり種だと変な口癖があるでもいい*1。
こうしたブームも、始まる時は怒号のように始まる。もっと知りたいと思ったり、しつこいくらい言ったり。場合によっては周りの人にさえ伝わるほど激しい始まりさえある。
しかし、終わる時は誰に気づかれることもない。自分が気づかない可能性さえある。
「あのとき、あのアニメが大好きだったな」
そう思えるようになるのは、自分の中の熱が冷めてからだいぶ経ってからのことだ。あれは一過性のものだったと、初めて認識するのは。
何もかも静かに終わっていく。自分でも意識できないほど、静かに。
人が産まれた時、その人はたいてい、けたたましく泣くらしい。しかし、あまり騒がしく死ぬ人はいないだろう*2。たいていの人はきっと静かに息を引き取る。
数ヶ月後に僕は30歳になるらしい。自分の人生は、最近とても騒がしい。きっとまだ死ぬタイミングではないのだろう。
しかし同時に、今まであった騒がしさがなくなったのも感じている。あぁ、気付かぬうちに「終わって」いたのかと気づく。無意識的な「断捨離」かもしれない。
もう終わってしまっていて、あの計り知れない感情を呼び起こされることはないと思うけども。それでも、一瞬であったとしても、僕の人生を支えてくれたものであったことには変わりはない。
ありがとう、そして今更だけどさようなら。またいつか、会えたらいいですね。