Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

2020年ってなんなんだよ

多くの人にとって、今日は三浦春馬が死んだ日だと思う。それは昨年の 7 月 18 日が、多くの人にとって京都アニメーションへの放火事件が起きた日であるのと同じように。

ただ、そんな7月18日であっても、少ない人数かもしれないけど、異なる意味を感じる人がいる。僕もその1人だ。今日は7月18日だからこそ行われるライブの配信を見ていた。

2019年7月18日も相当に厳しい日ではあったが、しかし、2020年7月18日もまた、異なるベクトルかもしれないが厳しい日である。

そしてそれは、7月18日だからというだけでなく、2020年というこの年をひたすらに蝕むものが暴れ狂っているからだ。


2020年になって、人々の生活は大きく変わったということに異論はないだろう。

人を集めることが難しくなった。旅行に行くことが難しくなった。人が移動することが、集まることが、リスクとみなされる世界だ。

だからライブも、擬似的に遠隔で行う、当然の流れだと思う。ライブハウスに数百人、数千人を集めるなどもってのほかだと言う。

そして今日、そんなガイドラインにのっとって行われたライブを見ていた。100人ほどはライブハウスに来場し、その他の人はインターネットを通してライブ配信を見ている。これも新しい生活様式とやらなのかもしれない。

注意書きには確かに書いてあったんだ。マスクを着用の上来場してください、検温をします、フェイスシールドをつけていただきます、物販・CDの販売はありません、発声はお控えください。

書いてあった。だけどいざその会場を目にすると、正直絶句した。表情も見えない。髪が長いかどうかくらいでしか性別もわからない。ものものしいプラスチックとマスクが邪魔している。新手の宗教だろうか、なんてつい連想してしまった。


わかっている。感染症対策だということは。

わかっている。たとえポーズだとしても、意味のない対策だとしてもやらなくてはならないということも。

わかっている。この感染症は簡単にこの世界をあっさりひっくり返せるほどに強力なものだということも。

わかっていても、目の前の景色に動揺を隠せず、ひとり泣いていた。

人と人とが関わるということが、ただ対面で会うということはこんなにも難しいことだっただろうか。

人が集まるということに、ここまで配慮をしなければならないという現実に直面して、どこか悲しい。なにか苦しい。


なんだろう。確かにリモートワーク(テレワーク、在宅勤務)は促進されて、世界は変わりつつある。イマドキはリモートキャバクラなんてものもあるらしいし、自分が出向いたりしなくても遊ぶことだってできる。正当な進化なのかもしれない。

だけど配信のライブで、ボタンひとつで音量の上下ができるライブが、本当にライブなんだろうか。その場で体で感じる音声と、イヤホンを当てた耳の中だけで鳴り響くパケットに乗った音声とは本当に同じものなんだろうか。

イヤホンを外せば音をかき消せるし、スマホの通知が鳴れば友人と LINE しながら見れるライブって、本当に俺が行きたいライブだっただろうか。

俺が求めていたライブって、こんなんだっただろうか。

これから多くのライブが、こういう風に「進化」していくんだろうか。


無くしたくないものや
忘れたくないもの
なんで失った後でしか
気づけないのかな
無くしたくなかったのにな
(Lyu:Lyu 花よ花よ)

今更ながら、自分がいつしか失ったものに気づいた、まぁそれだけの話だ。

これからも社会は変わっていくだろう。これからもライブは変わっていくだろう。これから俺も変わっていくだろう。いつか俺も、ライブは配信で見れるほうが便利〜とか言い出すかもしれない。

だけど、将来大切だと思わなくなったとしても、自分がかつて大切にしていたものが2019年以前にはあったんだってことだけは忘れたくないんだ。

恋人に未練たらたらの男みたいだけど、まぁそういうもんだ。


2020年ってほんとなんなんだろうな。オリンピックがどうとか、ボランティアがどうとか、どうでもいいことで吹き上がっていたあの頃がほんと羨ましいよ。

なんで誰も望んでないのにこんな苦しい年を迎えちまったんだろう。

こんなはずじゃなかったのに。そんな想いだけが募る、季節外れのクソ寒い夜。

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