Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

ライブの魅力ってなんだっけ

2020 年 2 月以来、僕は一度もライブに行っていなかった。

配信ライブを見たり、シアターライブを見たりはしていた。だけどライブには行っていなかった。

正直なところ、行く気になれなかったという側面はないわけではない。僕はパンデミックに適応しすぎている。仕事は家からしているし、電車にも乗らず生活圏は徒歩15分圏内で収まる。毎日の運動の習慣もあるし、他に何か要素がなくても幸福だった。

だけどなんの因果か、なんの気なしに応募したチケットがなぜか当たってしまい、僕はライブに来た。1 年ぶりに音楽を生で聴いた。

最初に思ったのは、あぁ音楽はこんな形をしていたんだったなぁ、ということだった。

僕の耳にうっとうしいイヤホンもヘッドホンもついてない(代わりにうっとうしいマスクはついているけど)。自分が見たいところを、見たい時に見たいだけ見られる。当たり前だと思うけれど、それがこの 1 年以上、当たり前じゃなかったんだ。

音が体に響く。音が心に響く。

まるで音楽を、一曲一曲を、手で触っているかのように感じた。どんな形かを感じていた。触り心地の良い曲もあるし、鋭利で痛い曲もあった。

むき出しの音楽がそこにあった。

もちろん、ストリーミングで聴ける音楽も素晴らしい。世界中の音楽を、自分が好きなタイミングで、自分の好きな分だけ届けてくれる。

だけど、それとは全く違う魅力がライブにはあるんだった。そう、ライブとはそういうものだった。あまりにも長い時間を空けていて完全に忘れてしまっていた。

僕はこの「音楽」が好きで、ライブに行っていたのだった。思い出した。思い出せた。

それだけで、今日という日はとても価値があった。

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