Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

8月も折り返し、Twitterは転換期

UserStreamの終わりに

Twitter の UserStream が終わる話、正直なことを言うと言及しないつもりだったのだけど、書いておくことにした。といっても別にいい話もエモい話もない。UserStream にこれといった思い出も思い入れもない。なのでさっき日付が変わる前に考えたことを雑に書いておくことにした。

わたしは公式アプリばかりを優遇し、充実させていく Twitter を、批判もせずかといって積極的な同調もせず、消極的に受け入れてきたうちの一人だ。何かを書けるわけもない。そして何かを書く理由もない。確かに昔は UserStream 対応のサードパーティ製アプリを愛用していた。公式を使うことのほうが少なかった。しかし今となっては使用頻度は逆転し、 NowPlaying のツイートをするときくらいしか使わなくなった。Stream でタイムラインを見ることなんてほとんどないと言って良い。TweetDeck でさえもう使っていない。わたしはこれからも Twitter を使い続けるだろう。公式のアプリケーションや公式の Web UI を利用して。

なぜか。やはりというか、残念ながらというか、そこにしかないものがあるからだ。

TwitterというSNSが他と一線を画すのは特定のマニアックな、かといって洗練されていない "生" の声が届くところにあると思っている。わたしは映画好きなのだが、映画の情報を手に入れるのは7割が映画館で3割がTwitterだ。映画館の広告はあくまでも広告で悪い話を聞くことはできない。ブログはお金がからんでいるせいかまともな論評よりもあらすじを書いたスイーツな感想が目につくし*1、毒にも薬にもならない記事がゴロゴロと転がっていてノイズだらけだ*2

Twitterには「面白かった」以外の情報がないツイートがある。わたしにとってはこれが一番の広告だ。「誰が」面白いといったか、そんなことはどうでもいい。名もない誰かが、素性の知れぬ誰かが「面白い」と言った映画が、一番面白い。

Twitter にも当然広告はある。しかし、広告なのか否か、もっと言うと利害関係者か否かくらいはわりとわかるものだ。

そして、とてもじゃないがこうした情報が Twitter 以外の SNS から得られるとは思えない。 Facebook や LINE は自分の知っている人の知っている人より遠い世界から情報がくることはないし、マストドンでそうした情報が得られるとは思えない*3。映画のレビューサイトのレビューが信用できないのは Amazon カスタマーレビューが信用できないのと同じだ。日本語のレビューは原則信用できない。

だから結局、他にいまわたしが Twitter から得ているものを得られる代替手段が見つからない。

ITエンジニア同士だったら、Slack でも Discord でもツールなんてなんでも目的さえ合致すれば集まれる。しかし映画好きな人もさして映画を見ない人も、雑多にいろんな人が集まっていて、同じ話題に言及しさえすればわたしが探すことができる、あるいはふとした拍子にわたしの目の前に現れる場所、2秒でも見知らぬ誰かの生の感情に触れられる場所。それは Twitter だけなのだ。

カメラを止めるな!

そして日付変わって昨日、わたしは「カメラを止めるな!」を見に行った。予告を1秒も見ていないし、誰が出演なのか、監督が誰なのかも全く知らない。今もスタッフロールをさっき見たはずだけど覚えていない。

kametome.net

それでも見に行けるのだ。「面白い」と言っている人をTwitterで3人くらい見たからだ。誰かは覚えていない。もしかしたら出演している人の広告だったのかもしれない。Twitterを見ていなければわたしはこの映画の存在を知ることはなかった。そして、めちゃくちゃ面白かった。

こんな情報源を手放そうとは、わたしには思えない。

終わりに

わたしは UserStream を通して Twitter を使うことに価値や思い入れを見出していたわけではないし、あるいはサードパーティの開発者の意見に耳を傾けていた Twitter を好きになったわけではない。そもそも Twitter 社は嫌い。

それでも結局ここにしかいない人、ここにしかない情報があるからつい Twitter を使ってしまうし、それはITエンジニアとしてというよりもあらゆることの情報源としての側面が強い。そして情報源として活かすためには人口とオープンであることが必要だ。わたしの知る限りその両方があるのはTwitterだけだ。

要するに何がいいたいかというと、「カメラを止めるな!」めちゃくちゃ面白かった。久々に手放しで「面白い」とだけ言える映画に出会った。

*1:個人の観測範囲内での話です。

*2:当然この記事もノイズのひとつだ。ほとんどの人の目には入らないだろうけど。

*3:人口と世代の問題がある。