気が付いたら秋になっていた。
バイト帰りの夜、 人が活動するには少し遅く、 街が寝静まるには少し早い時間あたり。 いつのまにか厚手のパーカーも暑いと感じなくなって、 それどころか風を通さないためには少し力不足で、 夏という季節が本当に終わったと感じる、 そんな夜。
もう少し過ごすと、 いやでも冬になる。
毎年毎年、 特に好きでもないのに飽きることもなく、 四季を思うことを繰り返す。 年末が見えてくると時が過ぎるのは早いと愚痴る。
10年前の僕なら、 来る新年に思いを馳せていたろう。 いまの僕には、 もうそんな気概はない。
人は変わらない、 という会話を少し前にした。 実際には変わらないんじゃない、 変わらないことを求めているのだ、 無意識のうちに。 今のまま、 安定した生活をなんて無意識に。
僕は、 変わらないことも安定も別に好みではない。 毎日何かが違って欲しい、 毎日何かを変えていきたい。 朝起きる時間だって、 家に帰る時間だって、 毎日違ったっていい。 似たような毎日を繰り返すのは嫌いだ。
いまでもその気持ちはある。 でも、 もう歳なんだろうか、 少しだけ安定を求める気持ちもわかってきた。
明日も明後日も、 朝同じ時間に起きて、 同じように出勤し、 似たような時間に家に帰り、 いつも通りの活動をしていつもの時間に寝る。 そんな生活、 少しだけ憧れる。
毎日が違うだけで不安に襲われる。
毎日が一緒だと、 安心できる。 それはもちろん幻想だ。 不安も安心も幻想にすぎない。
しかし、 心の平穏ほど価値のあるものもまた少ない。 いまの生活は、 安心を投げ捨ててでも過ごしたい毎日なのだろうか。
僕はあともう何年、 若く居られるだろう。