タイトルが長い.
こんな記事を以前書いた. 鑑賞後, 続編が存在すると知ったので今回続編の 「ハンニバル」 を鑑賞してみることにしたが, ハンニバルを見てどうも 「羊たちの沈黙」 のほうがよくできている映画だなと思わされたので, ちょっとそこに関して補足しつつハンニバルの感想を書いていこうと思う. ちなみにこの映画 R15 ですしなかなかグロいので, 耐性のない方は鑑賞されることがあればご注意ください. この記事では特にグロい描写について文章におこしてはいないことも付記しておきます.
率直に言って, 羊たちの沈黙はぜひ見たほうがよいと思うが, このハンニバルに関してはそうでもない. 中にはトラウマになる人も居そうなので見なくていいかもしれない.
とまぁそんな高くない評価ではあるが, 個人的には楽しめた. 以下の記述には少しネタバレのようなものが含まれるかもしれない.
"続編"
僕がちゃんと確認しなかったのもあるのだが, 続編とは言ってもクラリス役の女優が既に違う. ジョディー・フォスターからジュリアン・ムーアになっている. 今作の主人公レクター博士はさすがに変わっていない. その他のキャストは舞台では 10 年時間が経っているからか同じ登場人物は僕が気づいた限り居なかった. しかしジョディー・フォスターはかなりハマっていたように思ったのでそれを変えるのはちょっと…という感じがある*1.
さらには監督も違う. ていうかいろいろと違うので, これは果たして本当に続編なのだろうかという気がしてくる.
失われた賢明さとリアリティ
どうにもレクター博士が賢いのは変わらないのだが, クラリスが前ほど賢くないように思われた. うまく説明できないのだが, 10 年前ならいくら彼女が行動派で優秀であってもそんなことはしなかっただろうというようなことを今作ではしている. どうもキャストが違うのもあってか 10 年前とは別人に感じられる.
あとレクター氏も賢さは変わらないのだが行動がいささか大胆すぎやしないだろうか. 国際指名手配犯なのに顔を隠すこともなし,通りがかりに人を殺すし……ついでに飛行機にも乗るし. 凶悪犯罪者の処遇という意味では「羊たちの沈黙」で描かれた厳戒態勢のほうが普通だと思うのだが.
どことなくチープなホラー
今回の 「ハンニバル」 で, 「羊たちの沈黙」よりも怖いと僕が感じたシーンはある. でも, 怖さの質が違う. 「ハンニバル」 はどちらかというとお化け屋敷のような怖さだ. 特別な事象や事案が発生して観客を '脅かす' という感じの怖さがある. だが, それらは全体的になんか安っぽい*2. しかし, 「羊たちの沈黙」 は何も起きていないのに怖かった. ただ普通の会話しているシーンでさえ, 緊張を観客に強いるような圧力, そして得体のしれない恐怖があった.
その差はおそらく演出の違いに起因しているのだと思う. 正直 「ハンニバル」 では特徴的な演出や変わった効果は見られなかった(少なくとも僕は感じなかった). 今作はモノや見た目, 事象で恐怖を煽る演出はいくつもあったが, それは結局表面的な恐ろしさの演出でしかなくて, 観客を緊張に追い込めては居なかったのだと思う.
まとめ
ホラー映画っぽいホラー映画として見るのであればこの 「ハンニバル」 はオススメできる. しかし, 面白さ, スリル, 緊張感といった面では 「羊たちの沈黙」 を上回ることはないので, 別に無理して見る必要もないのではないだろうか. むしろ 「羊たちの沈黙」 が良ぎるのかもしれない.