Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

涼宮ハルヒシリーズの既刊はとりあえず読んだ.

とりあえず驚愕(後)まで全て読み終えた. 最初に憂鬱を読んだのが 8/10 らしいので 2 週間足らずで全部読んだことになる.

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続編に期待などしていない. 私は物語が終わることにあまり興味はない. どこか違う世界で彼らが頑張ってるのならそれでいいと思うタイプである.(他にどういうタイプが存在するのかは知らない) ここいらで散文でも書いて掲出しておきたい. あくまでもただの散文である. ハルヒ的世界を分析をする気もなければ, なぜ一世風靡をしたのかを分析する気もない. 時間とはなにかを長々と解説する気もない. 僕の主観の範囲で公共の福祉に反しない程度に思ったことを率直に述べようと思う.

とりあえずこれはライトノベルではないと思う

青春ラブコメの皮をかぶった比較的本格的な SF 小説である, とは前にも述べた. 著者が遅筆なのも理解できる. 分裂から驚愕まで 4 年間かかったらしいが, 10 年かかったと言われてもそこまで驚かないだろうと思った. 読んでみてわかったことではあるが. しかし分裂の土壌がありながら 4 年間かかったのは不思議といえば不思議ではある. よほど怠惰な著者なのだろう, あとがきにもそう書いてある. ライトノベルにおいて遅筆は致命的な弱点なのは認めざるを得まい. 個人的には角川スニーカー文庫じゃなくハヤカワ文庫に移籍して 10 年に一作出して欲しい. もっとできることも増えるだろう.

個人的な願望はさておき, この世界はなかなか面白い. ちなみに私は普段アニメや作品のキャラが好きだとか嫌いだとかあまり思わないのだけれど, ごくごくたまに例外があって, 全作品を通じて佐々木が一番気に入った. ひょっとして私も相当な変わり者なのかもしれない.

高校という舞台

高校という舞台は私にとっては過去のものだ. 県立高校がどういうものか, 少なくとも私はひとつは知っている. もう忘れた部分は多々あるけれど, 例えば軽音楽部のバンド演奏は別に演奏云々以前に高校の体育館の音響設備がひどいから聞けたものではなかったし, 古ぼけた校舎に汚い椅子, うしろの席をナイスポジションと呼ぶ文化は私も経験したものだ.

ただ, これといった共通する思い出はないけど, なんとなく懐かしい気がする. (もし共通する部分があったら困るというのもある) それだけでなんとなくこの作品に自分の感情も乗ってしまう. 不思議なものだ. 「驚愕」 が発売された時, 私は高校 3 年生だったそうだ. 私は当時きっと受験のことしか考えていなかったんだろう. 一切知らなかった.

SF 的な Something

SF 的な要素と青春生活と若干の恋愛要素とがからみ合って絶妙なハーモニーを奏でる中で, おそらく一番密度が大きいのは SF 的な要素だと思う. SF 的な要素が楽しめない人は本シリーズはたぶん面白くないのだろうと思う. 例えば, 佐々木がする例え話にさえ量子力学が出てくる. たとえ話は本編と関係したり関係しなかったりするが, 本編中にわけわからない理屈と技術をもとにさまざまな思惑が時空を超えて交差するのを理解するのはなかなか難しいだろう. 前の記事でも述べたけど, 私が中学生だったらこの面白さは理解できなかったに違いない.

まとめる気のないまとめ

個人的な話でもってまとめにしたい. 私はこの世代の人間なのであらゆる人からハルヒを見ろ/読めと言われてきた. 私がこの 2015 年の 8 月頭になるまで見ようとも読もうとも思わなかったのは, おそらくさまざまな偶然が絡んでいると思う.

まず, 私はいわゆる "萌え" にもなんにも興味がなかったことだ. 私の周りの人間はハルヒの "萌え" やキャラの可愛さを語る人間が多かったのだが, 前述のように私はそういうことには興味がない. 何よりもストーリーが面白くないと私は惹かれないのだ. おそらく, 大人気作とか流行の作品は本能的に避けてしまう性質(これは中二病になって以来治らないので諦めている, 昔より症状は軽微になっているが)の持ち主である私であっても, もしも話の中身をきちんと解説されていたら読んでいただろう. 例えば, 涼宮ハルヒを中心に回っている世界を舞台にした, 日常生活に SF 要素を盛り込んだ小説だ, と.

誰も私にハルヒが SF 小説だと教えなかった. 彼らはひょっとしたらその認識さえなかったのかもしれない.(時系列がめちゃくちゃになるとか言われたけど私は一度も混乱しなかった, 混乱するほど時系列はむちゃくちゃになっていないと思ったのだが) なんにせよ 8 年間ネタバレ無しで過ごせたのは結構な偶然の重なりの結果だと思うので, それで良かったのだと思う.

最後に稚拙な感想を書いておくと, ものすごく楽しかった. 人生で初めて『虐殺器官』を読んだ時と同じくらいの気持ちでいる.

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

これほど楽しませてくれる小説を読んだのは久しぶりだった. さて, 次はどんな作品が名乗り上げるのか. たぶん今流行っている作品ではないことは確かだ.