Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

大企業に入ったことを自慢できるようなつまらない男になりたかった

自分も、どこまでもステレオタイプな優等生でいたかった。自分が優等生であったことなど1秒もないのだが。

いい高校に入って、いい大学入って、大企業に就職して、そんな道を疑わずに生きられるような人でありたかった。誰しもが知っている大企業に入って、親を安心させてやりたかった。

そんな道を選べたはずなのに、どうして選ばなかったんだろう。別に数学科に入る必然性もなかったし、プログラミングを志す理由もなかった。中途半端に中退してまで大学院に行く必要もなかったし、初手でスタートアップを選ぶ理由もなかった。

どこまでも異常な意思決定しかしていない人生だと、書き並べてみて初めて気づく。

前に書いたけれど、僕は普通に生きたいって、心の底から思っている。かつて斜に構えていたことは認める。天邪鬼だったし、人が選ぶ道には進まないという意思がたしかにあった。でももうそんな意地を張るような年齢でもないし、そんな状態でもない。




センター試験。大学入試。

この季節になると嫌になる。もう何年たったかわからない。良くも悪くも自分の人生を決定的に変えてしまった瞬間のひとつだ。

僕は京都大学に入りたかったけど、そんなことはもうどうでもいい。本当にどうでもいい。自分は地元の国立大学に入った。そして色んなことに絶望し、色んなことに失望し、色んなことに熱中した。そして最後に、自分に残ったものはよくわからない。何も残らなかったのかもしれない。

わざわざ国立大学に入ったのだから、なぜ大企業に入らなかったのか。どうせ途中で投げ出すのだし、学問なんか放り出して就活に没頭すればよかった。別に大企業の本社である必要はない。関連会社でも子会社でもなんでもいい。親が一言で「息子がNTTに入った」*1といえるほうがよっぽど親孝行だったんじゃないかと思う。なぜ愛知県の片田舎で「AIスタートアップからITコンサルティング会社に転職した」と言わせなければならないのか*2

昔は肩書なんてとてもつまらないものだと思っていた。しかしいざ、肩書の威力を目の当たりにすると自分がほしいとは思わないけれど、親にくらい与えても良かったんじゃないかと思う。

どうしようもない後悔なんだけど、誰しもが知っている会社で働けるような大人になりたかった。そういう道を良い道だと、普通の道だと、疑わずに信じきれるような無垢な人間でありたかった。ただ大企業に入っただけで人や合コンで目の前にいる女に自慢できるような、純粋な人間になりたかった。もしくはそんなどうしようもないことがステータスとして機能することを利用できるしたたかな人間になりたかった。

学校に入るみたいに会社に入ることができたらよかった。新卒就活という文化を受け入れてそのルールの中で戦えばよかった*3。新卒で横並びになること(いわゆるメンバーシップ型雇用)*4を当たり前のように受け入れられればよかった。仮に内心は不満でも、器用に振る舞う覚悟さえ決めればよかっただけなのに、それさえできなかった。




そんなことをぼやきながら、明日も誰も知らない会社で、そこそこに頼りにされながら、そこそこの仕事をするんだろう。結局、今の僕はこうでしかないのだから。

*1:日系大企業の例としてNTTを選んだだけで他意はない。

*2:実際はそんなこと言えないと思う。そもそも僕の親はスタートアップとかベンチャーとか知らないだろう。

*3:僕は新卒就活を一切していない。合同説明会もエントリーも面接も全く経験がない。

*4:メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用を知っている時点で、僕に日系大企業に入るという選択肢はなかったのだと思う。