Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

OSSライセンスMeetup Vol.3 に参加した

参加した。

sios.connpass.com

サイオスさんといえばCVEが発行されたときによくWebサイトを参照するイメージしか個人的にはないのだけど、なんかこんなおしゃれな商品を売っている会社でもあるらしい。

www.or-st.com

別に誰かに頼まれたわけじゃないけど、宣伝終わり。

背景

わたしはその辺で働いているSEである。OSS活動にすごく意欲的というわけでも、すごい消極的というわけでもない。OSSライセンスについてはあまり詳しくないくらいの自認である。さすがにある程度文面を眺めたことはあるけれど、精読したことなんてないし、「再配布」とか「コピーレフト」とかが具体的に業務におけるどういう状態にあたるのかさえあまり意識したことがなかった。例えば、顧客にバイナリだけ納品するのと、顧客にソースコードとバイナリを納品するのと、顧客にSaaSサービスを提供するのとでは気にするべき内容が変わってくる、みたいなことを知ってからまだ1年も経っていないと思う。

きっかけはMongoDBがライセンスを厳しくしたニュースだった。その辺りを機にOSSライセンスについて少し知ろうと思っていたが、別段何か行動を起こすことはなかった。いつの間にか職場が変わり、受託開発の毛色がより強くなったのもあってOSSライセンスについてもう少し詳しくなりたいな〜みたいな気持ちがあったときに、職場の人がSlackに共有してくれたものに参加することにした。

登壇

OSSライセンスとの格闘経験から

某大手IT企業のコーポレートの知財部門の方の発表。90年代から最近にかけて、OSSおよびOSSライセンスとの関わりがどう変わってきたのか、そしてその過程で発表者がどんな取り組みを行ってきたのか、というような内容の発表だった。

それこそ最初はBSDライセンスを読み合わせる、というところから始まったとのこと。少なくともこの時点でOSSライセンスに関する経験でわたしは敗北している。

色々わからないことを調べてもFSF(Free Software Foundation)に「裁判をやってみないとわからない」と回答されたりだとか、どこか自分がわからないと思った時になんかとらえどころがない、雲をつかむような話だなと思うことが多かったのだけど、それは日々格闘している方でも同じなんだなというのが印象的だった。

様々な資料を紹介していただいたが、OSSライセンス研究所の取り組みは良いなと思った。

www.osll.jp

OSSライセンスを理解するためのIT用語の基礎知識(法務・知財部門向け)はとてもいいものだと思った。法務・知財部門の人とエンジニアが会話している光景なんてあんまり想像できないけれど、OSSを技術者が利用するといっても仕事であれば利用に責任を持つのは会社なわけで、会社の権利を守る仕事をしている人たちにもソフトウェアについて、OSSについて、OSSライセンスについて知ってもらう必要がある。その代表格が知財部門の人なわけで、非技術者が技術用語を知るというコンセプトは非常に理にかなったものだと思う。

他にもライセンスを深堀りする勉強会もやっている様子。

www.osll.jp

(元)特許部門担当の視点から

実は以前特許の話を聞きかじったことがあり、その時に僕が思ったことは「なんかOSSとは真逆だな」という感触だったのをなんとなく覚えている。特許というのは自分たちの権利を主張したり、資産やノウハウを守るために取得するものという印象を受けた。一方、OSSは権利は(強くは)主張しないものだし、なんかあんまり昨今のソフトウェア開発にはそぐわないなーという感覚を抱いていた。あくまでもざっくりした感想だが。。。

さて、発表者は特許部門からOSSコンプライアンスの部門へ異動になったらしい。どうでもいいけどわたしは小さい企業でエンジニアとして働いた経験しかなくて「異動」というものを経験したことがない。あと「部門」とかいう言葉が今日の勉強会では当たり前のように使われていたけれど、そんな明確な部署だとか部門だとかがある組織に属したことがないのでなんか不思議な感じがした。さすがにエンジニアチームみたいなのはあったけど、どういうプロダクトを作っているかでわかれているだけだし、対立なんて別になかったし...

脱線した。話の内容としては、知財部門がOSSライセンスについて会社にできる価値提供は(非常に見えにくいのだけれども)、ビジネスをなるべく止めないで、でもOSSライセンスを遵守した上で使えるようにすることだというのが主な主張だったと思う。色々と共感できるお話が多かった。OSSライセンスに関連する内容は(特許部門とは違って)標準化されている工程があまりなく、各社の工夫でやっているというのはわたしも現場を2社しか知らないけれど痛感するところではある。

ディスカッションタイム

様々な質問がでて、面白かった。ブログ執筆枠で応募していたので一番前の席で机も電源もあったのだが、前の方の席の人たちがかなり積極的に発言をしていて非常に濃ゆい時間だったと思う。

わたしは開発者(技術者)なのだけれど、知財部門の方、マーケティング部門の方などもいて本当に様々な目があるのだなと思うなど。

Q&A のメモを読み返してみたけれど、Q&Aよりも個人的に衝撃的だったのはOSSを一切使わない受託開発の話でしょうか。詳細をここに書いていいかわからないのでこれ以上書きませんが...

まとめ

終わったあと頭がぼうっとしてしまい、なんか目がうつらな状態で帰路を過ごしていた気がする。とても充実した時間だった。

非常に面白かったのに、ブログ枠に全然人が集まっていなかったのでみなさんも次回以降は(あれば)ブログ枠で参加すると良いと思う。机と電源があるの非常に快適でした。

主催者の方、登壇者、スタッフの方、お疲れ様でした。そして楽しい会を催していただき本当にありがとうございました。