Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

思い出に閉じ込められて

気がつけば、暖房をつけようかと思うほどには寒くなっている。ここのところほとんど家に居なかったから、部屋の中の一日の気温の変化を感じるのは久しぶりだった。

家の中で漫画を読みながらいろいろなことを思い出していた。思い出したことの大部分は人に話したいことではない。いろんな人に迷惑をかけたし、いろんな人に怒られたし、一方的に全部わたしが悪いことばかりで、なんというか機会があるなら謝罪したいと思えるほどだ。もちろん求められたら謝罪をするが、求められていないのに謝罪をしたところで自己満足なので、きっとわたしがするべきは明日の社会を少しでも良くしていく仕事をすることなのだろう*1

なとど調子のいいことを書いてみる。しかし、わたしが特に人生で何をなそうともしていないのに生きているのは、培われた罪悪感がいつまでも拭えないからだ。

思い出に付随して現れるのは、そのとき聴いていた音楽で、デバイスの変更とかでもうiPhoneには残っていない。だからiTunesでてきとうに数曲買った*2。そのころといえば、時代はAKB一色で、誰も彼もがそのアイドルグループの話をしていた。わたしはその頃から既にテレビを見ない生活に片足をつっこんでいたので、世俗には当時から疎く、聴いていた音楽も世間の流行りを一切反映していないものだ。

だからこそ、自分だけのもののように感じる。

わたしはAKB48の「ヘビーローテーション」を聴いても特に何も思い出せないけれど、Mr.Childrenの「365日」を聴けばある夜のことを思い出す。東京事変の「スイートスポット」を聴けばある日の帰り道を思い出す。

染みついた思い出は時に重くのしかかり、その曲を聞くことさえ嫌になることがある。残念ながらいいことを思い出せる曲はない。というか、いいことをあまり覚えていない。


また、どうでもいいことを思い出した。大学の帰り道で数年越しぶりに会った子がいた。成り行きで話していたら何かの話題を出した時に、「ひかるくんってどうせ悩んだことなんてないでしょ」と言われた。あれは何歳のときだっただろう。わたしは咄嗟に「そんなことはないよ、少なくとも人生で1度は本気で悩んだ。そのときの答えはまだ出てない」みたいなことをつい言ってしまった。その子は「ふ〜ん、どんな話? 聞かせてよ」と言ったけど、わたしは今度会ったときね、といってごまかした。

もとより誰かに話す気なんてなかった。

連絡先も知らないまま別れ、わたしはいつしかその土地を離れた。「今度会ったとき」はきっと一生来ることはない。人間なんてそんなもんだ。

めくられないカレンダー、捨てられないメール、果たせなかった約束、渡せなかったプレゼント。 その瞬間で止まったものが、わたしの心に深く鎮座して、一生消せない。

変えたいこと、変えたくないこと、 - Diary over Finite Fields

悪いと思いながらしたことは、自分でも忘れられないものであること。そして忘れられないことが、どんな些細なことであっても、たとえ他者には一切迷惑をかけないような内容であったとしても*3、人生を束縛するのだと実感している。

*1:この仕事は労働とは限らない。

*2:こういうことはよくある。

*3:迷惑をかけるような内容であれば尚更。