終わった.
人は何かしらを終えると, 自分が何かをなしたわけでもないのに変な達成感を感じることもある. 今その謎の達成感を感じているところである.
ひとつひとつ, 簡単なコメントを添えて僕なりの V シリーズの総括としたい.
今回は面倒なので, Amazon へのリンクは省略する. ネタバレ無しで記述するのは多分無理なので, 未読の人はこの記事は読まないほうがいいと思う. 各位, 作品のファーストインプレッションを大切にしていただきたい.
どれほど効果があるのか知らないけれど, たたみます.
感想一覧
黒猫の三角
第一作. いきなり『アクロイド殺害事件』から始まるとは思いもよらなかった. オチはダジャレ.
いきなり, 謎多きそして繊細な美的感覚の持ち主との出逢いに戸惑う. 意味がわからないこと必至だ. きっと当時の僕にはひとりひとりのキャラがまだわかっていなかったせいだろう.
人形式モナリザ
この物語の語り手の本業が明らかになる会. そしてよくわからない殺人事件が起きる会.
ここではまだ, 語り手にとって都合の悪いことも何もかも書いてあるようで, 比較的平易に書かれているように思う.
月は幽咽のデバイス
初めて, この物語には書いていないことがあると明示されるシーンがある. 結局誰にも目的はわからないまま終わる. 事件は確かに謎かもしれないが, 事件の謎なんてささいに思われるほぢには, 描かれていないことや疑問点が多すぎる. まぁわからないことをわからないなりに楽しむというのは, 自分が専門とする領域以外ではそれなりに楽しいとしていいことだと思っているので, 僕はわからないままでいよう.
夢・出逢い・魔性
「夢で逢いましょう」のダジャレである.
ここまではこの世界やキャラクタたちへのイントロダクションという感じが強い. この事件も結局 4 人には何も関係がないまま終わる. この話だけ異常にバカっぽく感じたのは僕だけでしょうか.
魔剣天翔
5 作目にして, 物語は始まったという印象を受けた. これがなかったら, Vシリーズ読破したかも怪しい.
恋恋蓮歩の演習
感想は過去の記事に書いたので, 読みたい人はどうぞ.
六人の超音波科学者
つまらない話である. 前座と言ってもいい.
珍しく嫌な感じを受けている, 苛立っている紅子さんが見られる. 私も, 仲間だと自分が思っている人が見え透いたつまらない嘘をついているのは形容しがたい苛立ちを覚える.
捩れ屋敷の利鈍
ボーナスステージ. 純粋な想いがつまらない欲望で塗りつぶされる不愉快な話.
朽ちる散る落ちる
物理的なトリックに加え, 深いところでつながって, 絡まっている謎がひとつひとつ解きほぐされていく感覚. 前座の六人の超音波科学者はこのためにあるのだと思う.
赤緑黒白
そして物語は終わる.
いや, 始まるのだろう. なぜならそこに天才がいるからだ.
終わりに
『恋恋蓮歩の演習』と, 『朽ちる散る落ちる』が本当に面白い. この二冊を存分に楽しめただけで, 10 冊読み通した甲斐があったと思う.
次は四季を読みます.