この記事を書き始めた時刻は午前 10:50 ですが, なんとなく夏休みなのに外が静かな気がするし, 夏の終わりを想起します. 僕はまだ休みなんですが, やっぱり世間が静かになるとそんな感じがするもの. 正直なことを言えば, 別に講義期間中も一週間のうち半分以上が休日のようなものなのであまり変わらないのですが…
与太話はこれくらいにしておいて, 予告通り, 学部生活を振り返る, B3 編です. 前回までの記事はこちら.
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では, 続きからどうぞ.
B3 前期
学部 3 年生というのは, 簡単に言えば大学生らしさを失う時期であると思う. 自分自身の経験, 先輩や後輩の話を聞く限り.
交際していた恋人に振られたり, 将来の身を案じるようになったり, 無気力になったり, 失踪したり, なんとなく学部 3 年生くらいの時期にそういうことが起きやすい気がする. 特に統計をとったわけでもないので根拠はない. なんとなく思いっきり遊んだりする体力を失って遊ぶにしても少しおとなしくなったりする. そして今までの僕は若かったなどとぼやく. そんな時期.
僕もそうで, この時期はまず早寝早起きを実践していた. 理由は恥ずかしいが書いてしまうと, 当時好きな人が居てその人と生活リズムを合わせるためである. 人は恋をすると変わるということを実感する.
詳細は書かないが, そんなこともあった. 上の段落で書いたことと矛盾している気もするが, いずれにせよ若い頃(B1, B2 の頃のことをさしている)みたいに乱れた生活はせず, しかも履修した講義のほとんどに出席していた(例のごとく週に 1 つしかちゃんと受講していなかったが). そんなこんなで僕も落ち着いた学部 3 年生として生活をしていた.
この時期の思い出として書いておきたいのは, とある数学の講義に驚嘆したことと, 『可換体論』 のセミナーでコテンパンにされたことと, 関西すうがく徒のつどいで発表したことだろうか. いずれも数学についてであるが, 他のことを書かない理由は察していただきたい.
驚愕
今の僕が言うにはあまりにも恥ずかしい部分があるが, 自戒の意味も込めてあえて当時思ったとおりに書こうと思う.
講義
初めて, 数学ができるとはこういうことかと思い知らされたのはこの時期だったと思う. まずは講義のお話から.
なんとなく, いわゆる 'モグる' という行為をしたかったのがまず動機としてあったと思う. 自分が履修していない講義を聞きに行くということだ. 学部 3 年生なので学部 4 年生の講義は履修できない(現行の日本の大学の致命的な欠点だと思う). そこで, 履修しないで聞きに行ったわけである. その講義のタイトルはよく覚えていない.
覚えている限り内容を羅列すると…
- 素数は無限個あることについて
- Bruhat 分解
- Lebesgue 積分
- 選択公理と超限帰納法
- 圏と関手
- 単位的可換 環とコンパクトハウスドルフ空間
- 超関数(distribution)
- Scheme 論における Grothendieck の idea
- Grothendieck Topos
とか話していたと思う. 私はもうノートを紛失してしまって内容は覚えていないし理解もしていないことを付記しておく.
おそらく内容も理解できたほうが私にとっては身になったのであろうが, 内容が理解できなくても当時僕に与えた影響は大きかった. 詳細は面倒なので語らないが, 数学も結局文化のひとつにすぎない(いい意味で)ことを実感した初めての経験だったと思う.
セミナー
このセミナーではたくさん失敗していろいろご迷惑をかけた. その上ほとんどの失敗は忘れてしまっていて立つ瀬がない. だが, 力の差を思い知ったというか, 忘れられないことがひとつある.
僕は 位置 というものを定義した. それはどうでもいいのだが, 僕は教科書に書いてあるものを教科書どおりに定義した. そうしたら, ある人が「それは間違っている気がする」 と言ったのだ. 実際間違っていて, がひとつ足りない部分があった.
数学に対する習熟度が段違いだと思った. 僕は定義が間違っていると感じるとしたら, おそらく定義を誤解しているがゆえに生じた問題や疑問を発見するまで気づかないだろうし, 実際準素イデアルの定義を誤解していることについ最近まで気づかなかったのだ.
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自分に何が足りないのかわからないが, 自分には全く何かが足りていないと感じた.
今となっては, 学部 3 年生にもなってここまで心動かされることに恵まれたのは運がいいのかもしれない.
つどい
関西すうがく徒のつどいで発表しました. 楽しかったですが, 上で得た衝撃以上のことは何も起きなかったので何も書きません.
ていうか, 当時僕のメンタルは結構ギリギリで死にかけだったのであまり覚えてないんですよね…
B3 後期
数学をやめる
あらかじめ言っておくが, B3 前期で数学で追い込められて数学をやめたわけではない. しかし, やめた. やめたくなったからである. ていうか数学どころか何もかもやめている. Twitter を見てみればわかると思うが, @515hikaru は 2014年 9 月末 - 2014 年 11月半ば くらいまでほとんどツイートがないと思う. たぶん.
疲れていたのだということにしておいて欲しい.
映画にはまる
そんなわけで疲れた人は何をするのかというと現実逃避を始める. そこで見た映画の感想録を残すようになった, 残骸がこのブログにも残っている.
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そもそも, 夏にこの本を読んでいて, 片っ端からこの本に書いてある映画をみようなどと企画して実行していたのである.
Running Pictures―伊藤計劃映画時評集〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者:伊藤 計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: 文庫
Cinematrix: 伊藤計劃映画時評集2 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者:伊藤 計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/03/22
- メディア: 文庫
「トゥルーマンショー」
「プライベート・ライアン」
「スターリングラード」
「マトリックス」
「ファイトクラブ」
「グラディエーター」
などなど, 名作もくだらない作品も浴びるように見た.最大週に 10 本見たと思う.
家に居ると親に心配される気がして出かけるのだが, 出かけてもすることがないのでパソコンを持ち歩いて DVD を図書館でイヤホンつけて鑑賞するという毎日だった. 最初のうちは時間つぶしにでもなればと思い講義に出ていたが, 暇すぎて余計なことばかり考えるのでやめてしまった. とにかく映画は, 映画だけは楽しかった.
再起のきっかけはもうよく覚えていない.
漫然と単位が欲しいと思い Fourier 解析の勉強を始めた頃だろうか. それとも他に何かきっかけがあったのだろうか. よく覚えていない.
わりと今も数学をやめたいと思っているし, その頃と本質的には何も変わっていないのかもしれない.
こんなところだろうか.
今日で 8 月が終わる. 2015 年もあと 4 ヶ月. 僕の大学生活もあと 7 ヶ月.
なんとなく, 3 年分振り返ってみて, 大学生活を無駄に過ごした気にしかならなくなった.
夏の終わり, ささやかな企画も終わり, 明日のブログのネタを考えつつ今日はここでおしまいにする.