Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

ひるなかの流星

おそらくマンガの話は初めてかと思う. 私は絵をかかないし, 自分の好みを明確に言うことができないのもあって, 絵に関することはなるべくコメントしないようにしている(これはこのブログに限らない). しかし好きなものを好きだとは言いたいので, この話はちゃんとまとめておこうと思ったわけで.

『ひるなかの流星』 集英社の少女マンガである. 番外編込みで 13 冊あるが, リンクは 1 巻のみにする.

ひるなかの流星 1 (マーガレットコミックス)

ひるなかの流星 1 (マーガレットコミックス)

  • 作者:やまもり 三香
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/10/25
  • メディア: コミック

余談だが, 私は女性向けのものにあまり抵抗がない(筆者は男である). しかし, 薬指の標本 - Diary over Finite Fields の脚注にも書いたが, それは女性向けの作品を女性と同じ感性で楽しんでいるのではなく, 私の感性, 価値観, 視点で楽しんでいる*1だけである. 私には女心はよくわかりません.

そんな前置きを書きつつ, 作品紹介をしていこう.

作品概要

出版社は先述のように集英社, 連載は 『マーガレット』 である. 本編は全 12 巻, 番外編が先月, 2015 年 8 月 25 日に発売され終了. 私はほとんどすべて単行本で読んだので, 連載本誌の内容と異なる部分などは把握できていない*2.

端的に言えば, 主人公の与謝野すずめをめぐる三角関係の話である. 別にドロドロはしていない(と思う)が, 途中で獅子尾センセー(後述)にはじゃっかん辟易した気がする. まぁのちのち書いていこう. まずは個人的な話から.

作品を知るようになったきっかけ

古本屋でバイトしていたころである. 普段 30 分の休憩時間が与えられるので, 僕は休憩していたのだが, そこに別のアルバイトの人が持ってきたマーガレットがたまたま置いてあったのである*3. 僕は特に理由もなく手に取ってパラパラ眺めていた, コンビニにおいてあるジャンプを立ち読みするような感覚で. そこにたまたま掲載されていた 『ひるなかの流星』 は単行本で言うと, 7 巻の day46*4 であったと思う. 持っている人はみてもらえばわかるが, なかなかにシリアスなシーンである. この一話を見た瞬間に作家が誰なのかも把握しないまま 「これは買いだ」 と確信した. 実際当時の既刊をすべて買うのにそんなに時間はかからなかった.

そのシーンの何に引き付けられたのかはよくわからない. しかし僕はこの作品が面白いとそのシーンだけで確信し, 実際面白かった. 私はマンガを買うときは "何か" を感じないと買わないのだが, その何かを感じたのだと思う. ちなみにその何かは言語化できるようなシロモノではない. そんなわけでハマった.

あらすじ

お待たせしました, やっとこさあらすじ*5である.

親の転勤で, ドがつくほどの田舎から東京のおじの家に引っ越すことになった与謝野すずめ. 上京初日に道に迷ったすずめを助けてくれたのは, 実はすずめのクラスの担任で世界史教師, 獅子尾五月だった. すずめは徐々に獅子尾への想いを募らせていく. 一方, 隣の席で東京に来て初めてのすずめの友達, 馬村大輝は, 大の女嫌いであったが, すずめに行為を抱くようになる. 絵にかいたような三角関係の中ですずめたちは想い悩み成長していく……

魅力

あらすじを読んでもらえばわかると思うが, 絵にかいたような三角関係である. あら, あらすじにもそう書いていた.

ぶれないメインテーマ

最後まですずめが獅子尾に決めるのか馬村に決めるのかわからない話, だから結構シンプル. 話のテーマがそこから離れたりしないのでダレないし, そこに注目して読めばメインストーリーは追える.
最初から最後まで読めばあの結末にも納得するだろうし, 作者のメタツッコミが随所に入るのも好意的に見ましょう. これが映画だったらキレるけどマンガだし.

序盤から中盤にかけてのすずめ

すずめの心の動きを読むのがたぶんこのマンガでは一番面白い(馬村もそうかもしれないが). 一見どう考えたって叶わないことが, 叶いそうで叶わない状態(あまり伝える気がない)を頑張れと応援したくなる. この間の獅子尾センセーの気持ちもわからぬではないし, それに振り回されつつ, 猫田とかのアドバイスやらなんやらで切り替えたり成長したりするのが王よい.

終盤の馬村

かっこよすぎないすかね. これは読んでくださいとしか言いようがないけど本当にかっこいいので一見の価値あり(どう解説してもネタバレになりそう).

番外編の獅子尾

おそらく本編途中でほとんどの読者は獅子尾さんの評価が下がると思うんですけど, 番外編の獅子尾さんの話が個人的にはその評価を上げてくれましたね. これは獅子尾さんの名誉もあるので, もし読むなら番外編も必読ですよ! という宣伝です.

ひるなかの流星 番外編 (マーガレットコミックス)

ひるなかの流星 番外編 (マーガレットコミックス)

  • 作者:やまもり 三香
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/08/25
  • メディア: コミック

総評

いやー楽しかった. これは楽しい話ですよ, 平和だし救いもあるし.
少女マンガの魅力はやはり心情描写が多いことで, 物語の登場人物の心の推察をするのが好きな僕としては少年マンガよりも少女マンガのほうが好きなんすよね. といっても少女マンガ全巻読んだ経験あまりないんですけど.

興味を持った方はぜひ読んでみて下さい.

*1:私の感性が男性的だとも思っていない.

*2:女性向け作品にほとんど抵抗はないのだけれど, さすがに連載雑誌に手を出すのは抵抗がある. なぜなのだろう.

*3:その休憩場で読んだマーガレットはそれが最初で最後だったので, 運命であるとしか言いようがない.

*4:46話ということだ.

*5:いつもあらすじ自作しているのだが, これがなかなか大変である. 個人的にはほとんど情報がない状態で読み始めてほしいと思っていて, 作品の中身の情報を最小限にしてその魅力を伝えるにはどうすればいいのかを考えると, けっこう出版社のあらすじや作品紹介も役に立たないので自作するしかない. しかし目的を達成できているのかと問われるとはなはだ疑問だ.