Diary over Finite Fields

515ひかるの日記と雑文

パプリカ -夢か現か-

映画 「パプリカ」 を鑑賞した.

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久しぶりのアニメ映画である. おそらく昨年見た 「サマーウォーズ」 と 「風立ちぬ」 以来アニメ "映画" は観ていなかったはずなので, 久しぶりに観たんだと思う. そして今まで僕が見てきた中で, スタジオジブリ作品を除いて手放しで面白いと称賛できるアニメ映画は, 「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」 のみだと思うので, 久しぶりにいい映画を観たなという気持ちになっている. 勧めてくれた某氏に感謝したい.

あらすじ

人の夢, 睡眠中に (より正確にはレム睡眠, 浅い眠りで脳は活動している状態のとき) 見る夢. その夢を他人と共有できたらいいと願った純粋な科学者が, 実際にそれを実現する機械, DC ミニを発明した世界. 物語は古典的だが, 科学技術とその技術を使う人間の倫理に端を発し, 進んでいく.

正直言って私には結末はよくわかっていない. たぶんもう一度見たらもう少しは分かる気がする. だが私は作品を理解することにあまり興味はない.

感想のようなもの

今回はなんか個人的な意見を前面に出した感想しかかけなかったので, あまり作品とは関係ない感想な気がする. これはあくまでも私が考えていることであって, 布教したいわけではないと理解していただきたい.

科学の領域と神の領域

神の領域. 少なくとも私はそう呼んでいる. 少なくとも私が知る限りでは, 宗教でこのような考え方を掲げている宗教を知らない. しかし, 私はなんとなくそう思っていて, 人間には侵してはならない神の領域があると思っている. 具体的には, 例えばクローン技術などがわかりやすいと思うが, 私が考えている領域には臓器移植などの医療がある. つまり 「死ぬはずだった人が生きている」 状態が, 人類が神に背いているような気がしてならないのだ. あくまでもなんとなく, なんとなくである. もちろん, 生きたいと願う人がその願いを叶えられる世界のほうが良いに決まっているのだろうと理解できる. しかし, やりすぎてはいけない気がしてならないのだ. この意見は仮に広く知られた場合,多くの反論が来そうなのであまりプッシュしないでおく.

いずれにしても私が言いたかったのは, この世界は, つまり夢の共有を可能にした世界は神の領域を侵した社会のように私には見えた. 現の世界に現れた穴こそがその象徴に私には見えた. やってはならぬことをした人類には, 天罰が下る気がしてならない.

夢か現(うつつ)か

夢と現の区別がものすごく曖昧なものである. しかし, ある一点において決定的にそれは異なっていて, それは他人との共有ができない点だ. 逆に言えば, 他人と共有さえできてしまえば, 夢と現の区別は誰にもつかなくなる. この映画はそこを上手についていて, いま夢を描いているのか, 現を描いているのか, 混乱する. おそらくわざと混乱させるように描いているのだと思う.

ちゃんと映画についても触れなければ. ということで演出と絵について触れておこう. この映画は演出が本当に良い. バランスがいいというか, これ以上はないのではないかと思う. ひとつ特筆すれば, たまに流れるノイズだ. ストレスを感じるような場面で頻繁に使われている. これがなかなか緊張感を高めるし, 見ていて飽きさせない工夫のようにも思える. ちなみに, 私はヘッドホンで音を聞いているのだが, 左と右で微妙にノイズが違ったり, 細部まで音にも気を使っている.ことが分かった.

おわりに

王道的な SF アニメ映画だった. もう一度, この作品を勧めてくれた某氏に感謝したい. 僕がアニメ映画に求めていることを大体クリアしてくれたので存分に楽しめた. スタンダードなものが見たいというならぜひ一度鑑賞してみて欲しい.

最高の夏, アニメの夏, 短い夢.